財産分与を有利に進めたい

財産分与を有利にするためには、財産に関する証拠を集めることが大切です。また、証拠を集めることに加え、夫が勝手に財産を処分してしまわないよう確保する必要がある場合
もありますので、その危険がある場合は、それを阻止する必要もあります。

1証拠を集める

(1)財産があるか否かについての証拠は、以下のものが考えられます。

預貯金通帳

同居中に貯めた預貯金を示すものは、それぞれの名義の口座の通帳や取引明細です。通帳のコピーや取引明細をとれなくても、夫が使用している銀行名と支店名が分かれば、後で調べることが可能です。ですので、少なくとも、夫が使用している銀行と支店名の情報は確保するようにしましょう。

株式等証券関連

夫が株式や債券を有している場合は、証券会社に口座があるので、その証券会社の情報を確保するようにしましょう。

不動産全部事項証明書

不動産の情報については、土地と建物の全部事項証明を法務局で取ることが出来ます。
不動産を購入するとき、妻の実家の援助を受けて頭金に充てたという事情がある場合は、それが分かる証拠も必要です。実家の援助の部分は「特有財産」として婚姻財産から除外して計算することが可能です。例えば、不動産購入の直前に、妻の父親名義の口座から、妻の口座に入金されたなど、通帳に記帳があれば、それも証拠として取っておく必要があります。

生命保険

解約返戻金がある生命保険も財産分与の対象になります。

解約返戻金額については保険の名義人のみが保険会社から取ることができ、妻が夫の保険の解約返戻金額を示す資料を取ることが出来ないのが通常です。ですので、これは、調停等が始まってから、裁判所に夫に対して指示してもらうか、裁判所の調査嘱託という手続きで照会をかけて情報を得ることになります。

iDeCo、つみたてNISA

最近はやりのiDeCoやつみたてNISAも、婚姻中の夫婦どちらかの収入を積み立てている場合は、財産分与の対象になります。

口座のある証券会社の発行する別居時点の残高証明書で残高を確認することになります。これも、調停等で裁判所から夫に資料の開示を指示してもらうか、裁判所の調査嘱託手続きで照会をかけて情報を得ることになります。

企業年金・企業型確定拠出年金

企業年金確定拠出年金も財産分与の対象になります。これについても、調停等が始まってから、裁判所に夫に対して明細を提出するように指示してもらうか、裁判所の調査嘱託手続きで照会をかけて情報を得ることになります。

退職金

退職金も財産分与の対象になるので、忘れないようにしましょう。

退職金は別居時に退職したと仮定した場合の退職金見込み額の婚姻同居期間に相当する割合が財産分与の対象になります。この退職金見込み額は夫が勤務先から出してもらう必要があります。夫が、自分で取ろうとしない場合は、裁判所の調査嘱託という手続きで夫の勤務先に照会をかけることになります。

(2)特有財産についての証拠

財産があるかないかについての証拠の他に必要な証拠があります。例えば、妻の実家から資金援助を受けて、不動産購入の際の頭金に充てる場合があります。その場合、頭金部分は、妻の特有財産で、財産分与の対象にはなりません。つまり、夫婦の収入で支払った部分の1/2に加えて、この特有部分も妻が取得することになります。

もっとも、この特有部分を主張するためには、その主張をする側、つまり、ここの例では妻が証明しなければなりません。その証拠としては、例えば、相続税申告資料(相続財産が使われた場合)、親名義の通帳又は取引履歴などが証拠となり得ます。

2 仮差押え

例えば、もし、財産分与の対象となる財産が夫名義の不動産のみだったり、夫名義の預金のみだったりした場合、夫が、妻が離婚したいと思っていると知るや否や、自分の財産を売却して、その利益を隠してしまうということがあります。そうなると、後に裁判所で財産分与判決が認められたとしても、その判決内容を回収することができず、判決が絵に描いた餅になってしまいます。それを避けるために、不動産や預金を仮に差押えする必要があります。

仮差押申立は、家庭裁判所の人訴係(離婚訴訟を担当する部署)に行います。この財産分与を確保する目的での仮差押えは、他の第三者に対する民事の仮差押えに比べて、認められやすいです。さらに、仮差押をするためには保証金を積む必要があるのですが、その保証金も他の事件での仮差押えに比べて少ない金額で認められることが多いです。

ただ、申立に際して、申立書には、訴状に記載する内容や仮差押えをする必要性を書く必要があります。また、離婚訴訟で提出する証拠を一通り提出する必要があり、準備が複雑ですので、弁護士に依頼して申し立てた方が良いと思います。

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この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

2000年10月 弁護士登録(第一東京弁護士会所属:53期)。
弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、年間100件以上の相談を受けてきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。
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