離婚調停を申し立てたい

夫と自分たちだけで離婚の協議が出来ない場合は、離婚裁判をする前に、離婚調停(正式名称は「夫婦関係調整調停」です)を申し立てる必要があります。
調停申し立てについて、以下ご説明します。

1調停申し立ての方法

(1)必要書類

調停申し立てるための必要な書類等は以下になります。

調停申立書

調停申立書の書式は裁判所のホームページからダウンロードして入手することが出来ます。記載例も掲載されていますので、それを参考に作成できます。家庭裁判所では、申立書の記載方法など手続的な部分の案内をしていますので、それを利用することも可能です。

戸籍謄本

本籍地の市区役所へ郵送または市区役所に直接行って取得することが出来ます。郵送での具体的な取得方法は、それぞれの市区役所のホームページなどで確認できます。

印紙

裁判所に払う手数料として印紙を添付します。

郵便切手

あらかじめ納める切手の金額は裁判所によって若干異なりますので、裁判所に確認しましょう。

(2)管轄の裁判所

調停を申し立てる裁判所は、原則として相手方が居住する住所地の裁判所になります。もっとも、例えば、相手方から管轄合意書を得れば、別の地の裁判所で調停を行うことも出来ます。

最近は、裁判所が遠方の場合は、電話での調停を実施してくれることも多くなりました。また、オンラインでの調停の導入も検討されています。

裁判所が遠方で調停のために裁判所に出頭することが負担の場合は、裁判所に電話での調停を要請しましょう。

もっとも、その場合でも、離婚が成立するときの調停は、当事者が裁判所に出頭することが原則となっています。

(3)申立方法

郵送または直接提出での申立が可能です。

2申立後の流れ

(1)家庭裁判所書記官との事務連絡

調停を申し立て、裁判所が受付をすると、そのケースの事件番号担当部署担当書記官が決まります。以後、担当書記官がそのケースについての事務処理を行うことになります。

(2)調停日程調整

調停申し立てに必要が書類が全部揃ったら、担当書記官は、調停期日の日程調整をします。担当書記官から申立人に電話連絡をして、申立人の都合と裁判所の都合がつく日時を第一回調停期日と決めます。

(3)相手方へ調停期日の連絡

第1回調停期日の日時が決まると、担当書記官は、相手に調停期日の日時の通知を郵便で送ります。

(4)調停期日に調停実施

調停期日が来たら、調停が実施されます。第1回目調停期日の日時は、申立人と裁判所の都合だけで決められるので、相手方の都合がつかず、欠席の場合も少なくありません。その場合は、第1回調停期日では、調停員は、申立人から話を聞いて、次回調停期日の日時を決めて、その日は終了となります。

調停1回あたりの時間は、原則として2時間程度(午前10時から12時又は午後1時頃から午後3時、または午後3時頃から午後5時)です。

もっとも、調停が成立するときは、裁判官が立ち会う必要があるのですが、裁判官は、当時に複数の事件を担当しているため、その順番を待つ時間がかなり長時間になる場合もあります。

第1回調停期日の後は、1か月から1か月半に1回の頻度で調停が実施されます。

(5)調停の進行

調停は、男性調停員と女性調停員と裁判官の3人が各調停を担当しています。

もっとも、当事者の話を聞き、調整を試みるのは、男女2人の調停員で、同日時に複数のケースを担当している裁判官は、進行について決めるときや、調停成立時、調停不成立時だけ同席します。

調停員は、基本的に中立な立場なので、どちらかの立場から相手を説得することはしません。もっとも、調停員は出来る限り調停を成立させることを目指しているので、調停を成立させるために、当事者を説得しようとすることはあります。

3期間

調停が始まってから終了するまでどのくらいの期間がかかるかは、事案によってかなり違いがあります。

争点が離婚のみの場合は、離婚の合意できるかできないかだけの問題なので、離婚が成立する場合でも成立しない場合でも、あまり何か月もかかることはありません。

他方、未成年者の子どもがいて、親権を争うがある場合は、途中で家庭裁判所の調査官調査が入ることもありますので、1年以上かかることも珍しくありません。

また、財産分与が問題となるケースでも、財産資料を開示する、しないで時間がかかることが多いです。

4調停成立

無事、当事者が合意に達した場合、裁判官が同席し、合意内容を確認し、成立となります。

調停成立後は、書記官が調停での合意内容を記載した調停調書を作成します。

調停申立人は、調停成立後、10日以内に、裁判所からの調停調書を以て本籍地又は住民登録地の市区役所に離婚届を提出します。調停離婚成立日は、離婚が戸籍に記載された日ではなく、調停成立日となります。

調停の申立自体は、調停申立書も主にチェック方式で作成でき、複雑なものではないので、ご自身で十分可能です。

しかしながら、調停申立後、まず、書記官との事務処理のやりとりがあります。

次に調停が始まると、裁判所との事務的なやりとりだけでなく、調停員を介してですが、相手と協議をしなければなりません。例えば、相手が何等か条件を提示してきた場合、その条件に応じるべきか、対案の条件を出すべきか、出すとしてどのような内容が良いのか、条件に応じず調停を不成立で終わらせるべきなのか、ご自身だけではなかなか判断が難しいです。

さらに、調停員は、中立的な立場で調停を進めますが、出来る限り調停を成立させようとして話を進めます。そのため、話を受け入れそうな、優しそうな当事者に対し、その当事者にとって必ずしも有利な内容ではないにも関わらず、説得して調停を成立させようとすることもあります。
そのような状況は極力回避したいものです。
ぜひ、弁護士に依頼して、ご自身とってベストな進め方をしていただければと思います。

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この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

2000年10月 弁護士登録(第一東京弁護士会所属:53期)。
弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、年間100件以上の相談を受けてきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。
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