共働き夫婦の離婚

共働き夫婦が離婚する場合も、基本的には他の夫婦と同様の方法で離婚を進めます。しかしながら、共働夫婦の場合に留意するべきこともあります。

1 親権者指定に関する問題

夫婦の間に未成年者の子どもがいて、離婚する場合は、必ず夫婦のどちらかを子の親権者として指定しなければなりません。夫婦間の話し合いで決まらない場合は、調停での話し合い、調停での話し合いで決まらない場合は、訴訟で裁判所に決めてもらう必要があります。

裁判所が親権者を決めるときに最も重視する事情は、子の出生から現在(別居)までどちらが主たる監護者であったかという点です。

この点、共働きの場合、妻が専業主婦やパート勤務である場合に比べて、夫が子の監護に関わることが多いです。この場合、夫婦のどちらが主たる監護者であったかの判断が難しい事案もないことはないです。

しかしながら、子の監護への関わりが夫婦全く平等ということは稀で、どちらかというと妻の子の関わりが大きいことが多いため、実際、妻が親権者と指定されることが多いです。例えば、保育園を妻の勤務先の近くにしたとか、一定期間妻が時短勤務にしたとかという事情があれば、妻が監護に多くかかわることを前提としていた、つまり、妻が監護の中心だったという事情となります。

もっとも、同居中、夫も子の監護に積極的にかかわってきて、その関わり方について妻も納得、信頼している場合、妻が子との関係では夫(父親)を信頼し、親権者は妻になるにしても、離婚後も父子が積極的に交流して欲しいと考える妻(母親)も少なくありません。そのような場合は、離婚後、妻が親権者になりつつも、共同監護的な形で父も子の養育に関わることも可能な場合もあります。

2 財産分与に関する問題

離婚時の財産分与は、夫婦が共働きでも妻が専業主婦やパート勤務でも基本的な考え方は同じです。すなわち、原則として、名義を問わず、夫婦が婚姻中にどちらかの収入で取得した財産は、婚姻財産として、夫婦で50/50で分けることになります。

分与割合が50/50ではない場合として、夫婦が同等に仕事をしているにも関わらず、妻のみが家事にもかかわってきた事案で、分与割合を6(妻):4(夫)とした審判例があります(東京家庭裁判所平成6年5月31日審判:家裁月報47巻5号52頁)。

夫婦の一方に特別な才能や専門性があり、それにより多額の財産を形成している場合は、才能や専門性を有する側の割合を多くする判例もあります(大阪高等裁判所平成26年3月13日判例:判例タイムズ1411号17頁)。

3 年金分割

「年金分割」と聞くと、専業主婦やパート勤務で夫の扶養に入っている妻が夫の年金を分けるための制度と考えている方も多いと思います。

しかし、共働きで妻が夫の扶養に入っていない場合でも年金分割が可能な場合があります。もし、共働きであっても、夫の方が妻より給料が多い場合や、妻が産休などで一時期収入がない期間があった場合、年金を計算する基礎となる標準報酬月額が夫の方が妻より多い可能性があります。その場合、年金分割が出来ることになります。夫婦それぞれが加入し支払っている老齢厚生年金の保険料の差額を分割し、その間、平等に保険料を負担したことにします。

最寄りの年金事務所で、「年金分割に関する情報通知書」を取得して、年金分割できる部分があるか否かを確認してみましょう。

本当は年金分割できるのに、共働きだからと年金分割しない、または年金分割するのを忘れてしまったということがないように気を付けましょう。

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この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

2000年10月 弁護士登録(第一東京弁護士会所属:53期)。
弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、年間100件以上の相談を受けてきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。
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