【解決事例】共働き夫婦の離婚|自宅を取得し住宅ローンも引き受けたケース(50代・子2人)
1 事案の概要
本件は、50代の共働き夫婦において、夫のモラハラを理由に妻が離婚を決意し、自宅不動産の取得と財産分与を巡って争いとなった事案です。
- 妻:50代・会社員(夫と同等の収入)
- 夫:50代・会社員
- 子ども:2人(私立学校在学)
妻は長年、夫の精神的圧迫(モラハラ)に耐えてきましたが、限界を感じ離婚を決意。当初は当事者間で協議していましたが、話し合いはまとまらず、夫が自宅を出て別居に至りました。
その後、弁護士が介入し離婚調停を申立て、協議を再開しました。
2 争点
本件の主な争点は以下のとおりです。
- 離婚の成立
- 自宅不動産の帰属
- 住宅ローンの処理(夫名義→妻引受)
- 清算金(代償金)の算定
- 養育費および私立学校の学費分担
特に中心となったのは、共有不動産と住宅ローンの整理でした。
3 財産関係と法的整理
(1)不動産の状況
- 婚姻後に購入した自宅
- 名義:夫婦共有
- 住宅ローン:夫名義
- 購入資金の一部(約1割):妻の実家からの援助
- 別居後夫がローン支払い
このようなケースでは、
- 原則:共有財産として2分の1ずつ
- 例外:親からの援助部分は特有財産として修正要素
別居後の夫のローン支払いは夫の特有財産として修正要素
となります。
(2)ローン引受(免責的債務引受)
本件では、妻が住宅ローンを引き受ける形を採用しました。
具体的には、
- もともとの夫名義の住宅ローンについて、妻が金融機関の承諾を得て 夫をローンから離脱させ、妻がローンを引き受ける(免責的債務引受)
という処理を行っています。
これは実務上、
- 妻の収入
- 妻の与信
- 物件評価
が揃わないと実現できないため、共働きで妻の収入が高いケース特有の解決方法といえます。
(3)別居後のローン支払い
別居後、夫が住宅ローンを支払っていました。
この点については、夫の特有財産として、清算する形で処理しました。
4 解決内容(結果)
離婚調停において、以下の内容で合意し解決しました。
不動産
- 妻が住宅ローンを引受(免責的債務引受)
- 妻が不動産の所有権全部を取得
清算金(代償金)
- 以下の要素を総合考慮して算定:
- 妻の実家からの援助(特有財産)
- 別居後に夫が支払った住宅ローン
→ 妻から夫へ適正額の清算金を支払い
養育費・学費
- 養育費を定めるとともに
- 私立学校の学費についても分担を明確化
5 本事例のポイント
① 高収入共働きでは「不動産取得型解決」も可能
本件のように、
- 妻の収入が夫と同等
であれば、売却ではなく
- 妻が所有権単独取得+代償金払う
という選択が可能になります。
② 免責的債務引受で夫はローンから抜ける
ローンが夫名義の場合でも、妻側に信用力があれば妻がローンを引き受け、夫を完全にローンから外すことが可能 です。
これにより、離婚後の紛争リスクを大きく減らせます。
③ 親からの援助は明確に主張すべき
購入資金の一部でも、親からの援助があれば 、財産分与の修正要素となるため、証拠とともに丁寧に主張することが重要です。証拠は、お金の流れがわかる明確なもの(通帳の記帳など)が必要です。
④ 私立学費は明確に取り決めるべき
本件のように、子が私立に通っている場合養育費とは別に、学費負担をどうするか を明確にしておかないと、後の紛争につながります。双方の収入で算定する養育費の一部に教育費が含まれるので、それを超える分の教育費は、双方の収入割合で分担を決め、その額を養育費に加算して支払ってもらうとする例が実務上、多いです。
6 同様のケースでお悩みの方へ
- 自宅に住み続けたい
- 住宅ローンが夫名義で不安
- 共働きで財産分与が複雑
- 親からの援助をどう扱うか分からない
- 私立学費の負担で揉めている
このような場合は、早期に専門的な整理を行うことが重要です。
FAQ
Q1 夫名義のローンでも妻が引き取れますか?
可能です。
本件のように妻に相応の収入がある場合、免責的債務引受により、妻が夫名義のローンを引き受け、夫をローンから外すこともできます。
Q2 共有名義の家は売却しないといけませんか?
いいえ。
一方がローンを引き受け、代償金を支払うことで、単独取得する解決も可能です。
Q3 親からの援助はどのように扱われますか?
特有財産として扱われ、清算金の調整要素になります。
Q4 別居後に相手が払ったローンはどう評価されますか?
別居後のローン支払いは、その部分は、支払った者の特有財産として清算することが多いです。
Q5 私立学校の学費は養育費に含まれますか?
双方の収入から算定した養育費の一部に教育費が含まれていますので、それを超える部分の教育費を双方の収入で按分して、養育費とは別に負担を決めることが多いです。
7 まとめ
本件は、
- モラハラ離婚
- 共有不動産の単独取得
- 免責的債務引受
- 私立学費の整理
といった複数の重要論点を、調停で適切に解決した事例です。
特に、
- 高収入共働き
- 不動産を手放したくない
という方にとって、参考となる典型例といえます。
8 弁護士からのメッセージ
不動産や住宅ローンが関わる離婚は、「最初の設計」で結果が大きく変わります。
- 自宅を取得したい
- 不利な条件で離婚したくない
そのような方は、ぜひ一度ご相談ください。

たかぎ法律事務所代表弁護士



