【解決事例】モラハラ夫が離婚を拒否しても離婚成立|仮差押えで財産確保+塾代込み婚姻費用・養育費が認められた事例

1 事案の概要

ご相談者は40代の専業主婦。
夫から長年にわたりモラルハラスメント(暴言・威圧的態度)を受けており、離婚を決意しました。
婚姻後に購入した自宅不動産がありましたが、

  • 名義:夫単独名義
  • 住宅ローン:あり

という状況であり、財産分与の確保が大きな問題となりました。
また、子どもは進学校に在籍しており、複数の塾に通っているため、教育費の確保も重要な争点でした。

2 ご相談時の主な問題点

  • 夫が離婚を強く拒否している
  • 不動産が夫名義で財産分与の回収に不安
  • 婚姻費用が十分に支払われていない
  • 塾代など高額な教育費をどう扱うか不明

☑「離婚・生活費・財産確保」がすべて争点となる典型的な難航事案

3 当事務所の対応

(1)調停前に不動産の仮差押えを実施

夫が財産を処分するリスクを踏まえ、離婚調停申立て前に自宅不動産を仮差押えました。
これにより、不動産の売却を防止し、 財産分与を確実に確保することができました。

(2)婚姻費用調停 → 審判へ

離婚調停と同時に婚姻費用調停を申立ても行いました。
子が進学校に在籍しており、複数の塾に通い、塾代が嵩んでいる という事情から、 塾代等の教育費についての必要性と夫が通塾を黙示的に合意していたことを具体的に主張立証しました。

しかし調停では合意に至らず、審判へ移行しました。

(3)婚姻費用審判の結果

裁判所は、子が

  • 進学校に在籍していること
  • 成績が優秀であること
  • 教育環境の維持の必要性
  • 夫の黙示的同意といえる事情

を踏まえ、複数の塾費用を含めた婚姻費用を認定し、通常の算定表を超える内容となりました。

(4)離婚調停 → 訴訟へ

離婚については、夫がモラハラを否認し、離婚を拒否したため、調停は不成立となりました。
その後、依頼者は離婚訴訟を提起しました。

(5)離婚訴訟の結果(判決)

裁判所は、

  • 夫のモラハラの言動

長期の別居から

  • 婚姻関係の破綻

を認定し、 離婚を認める判決。
さらに、

  • 不動産の価値を基礎に ローン残高を考慮

した結果、

☑ 1000万円を超える財産分与を認定

(6)養育費について

判決では、

  • 双方の収入に基づいて計算された通常の養育費に進学校・塾費用を考慮した加算

が認められました。

(7)最終的な解決

判決確定後、相手から財産分与として決定した全額の支払われましたので、 仮差押えを取下げました。

☑ 回収まで確実に実現して事件終了

4 本事例のポイント

① 仮差押えで「取りっぱぐれ」を防止

☑ 交渉や調停等始める前に夫名義の不動産への仮差押えをしなければ回収不能のリスクあり
☑ 初動対応が極めて重要

② 婚姻費用で「塾代フル認定」

☑ 進学校+成績優秀という事情を具体的に主張
☑ 教育費は個別事情で大きく変わる

③ 離婚拒否でも最終的には離婚可能

☑ 調停で相手が離婚に応じなくても訴訟で覆せる
☑ モラハラは破綻事由として十分評価される

④ 財産分与は「名義」ではなく「実質」で判断

☑ 夫名義でも婚姻中取得した財産は共有財産
☑ 適切な評価で1000万円超を確保

よくある質問(FAQ)

Q1.夫名義の家でも財産分与はもらえますか?

はい、可能です。
婚姻後に取得した不動産は原則として共有財産と扱われます。

Q2.仮差押えはいつやるべきですか?

交渉や調停などの前に行うことが必須です。
相手が争う姿勢の場合、後手に回ると回収が困難になります。

Q3.塾代はどこまで認められますか?

本件のように、

  • 進学校
  • 継続的通塾
  • 成績状況

があれば、

☑ 複数塾の費用が認められることもあります

Q4.夫が離婚を拒否しても離婚できますか?

可能です。
裁判で「婚姻関係の破綻」が認められれば離婚成立となります。

Q5.専業主婦でも財産分与で不利になりませんか?

不利にはなりません。
家事・育児の貢献は適切に評価され、婚姻中に取得したものであれば、夫名義の財産でも50:50で分けることになります。

まとめ

本件では、

  • 仮差押えによる財産確保
  • 婚姻費用審判で塾代フル認定
  • 離婚訴訟で離婚成立
  • 1000万円超の財産分与回収

を実現しました。

☑ 「先手の仮差押え+丁寧な立証」が結果を決めた事例です

最後に

モラハラ事案では、

  • 相手が話し合いに応じない
  • 財産を隠される
  • 教育費で揉める

といった問題が同時に起こります。
初動を誤ると、取り返せない結果になることもあります。
早い段階でのご相談をおすすめします。

この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

たかぎ法律事務所代表弁護士
2000(平成 12)年 10 月弁護士登録
第一東京弁護士会所属
登録番号 28118
修習期 53 期
東京都多摩市出身
上智大学法学部国際関係法学科卒
米国ノースウエスタン大学 LLM 卒

弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、現在は、女性側離婚案件に特化。年間 100 件以上の相談を受けております。特に高額で複雑な財産分与や婚姻費用について多数解決してきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。

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