【解決事例】不貞した夫からの離婚請求を退け、控訴審で約1000万円の解決金を得て和解離婚したケース

1 はじめに

夫が不貞をしたにもかかわらず、逆に夫から離婚を求められるケースは少なくありません。
さらに、夫から

  • 「不貞前から夫婦関係は破綻していた」
  • 「不貞は離婚の原因ではない」

などと主張され、どう対応すべきか悩まれる方も多いです。

本記事では、実際に
不貞した夫からの離婚請求を第一審(家庭裁判所)で退けた上で、最終的に控訴審(高等裁判所)で約1000万円の解決金を得て離婚した事例
をご紹介します。

2 事案の概要

依頼者は40代女性でした。

婚姻中の収入:当初はパートのみ

夫:不貞関係あり

別居:不貞発覚後に開始

夫は不貞をしたにもかかわらず、自ら離婚を求めてきました。

まず、依頼者は生活の安定を優先し、夫に対し婚姻費用を請求しました。
その結果、収入をベースとした婚姻費用については調停が成立しました。

しかし、離婚については依頼者が離婚に応じず、調停は不成立。
その後、夫が離婚訴訟を提起しました。

夫の主張:「不貞の前に破綻していた」

夫は次のように主張しました。

  • 同居はしていたが、夫婦関係は冷え切っていた
  • 会話も少なく、実質的には破綻していた
  • したがって、不貞は「破綻後」であり有責ではない

これは実務上不貞した夫から非常によく見られる主張です。

妻側の反論:「不貞前に破綻していない」ことを主張

これに対し、依頼者側では以下の事実を丁寧に主張・立証しました。

  • 別居は不貞発覚後に開始していること
  • 不貞発覚前まで同居していたこと
  • 不貞発覚前まで家族で外出・旅行をしていたこと
  • 家庭内で夫婦、家族としての関係が継続していたこと

つまり、形式的な同居ではなく、実質的にも夫婦関係が継続していたことの具体的事実を主張立証しました。

第1審判決:夫の離婚請求は棄却

裁判所は、

  • 婚姻関係は不貞発覚後に破綻
  • 婚姻関係破綻の原因は夫の不貞で夫は有責配偶者である

と判断し、
夫の離婚請求を棄却しました。

不貞した側の「破綻後の不貞」主張が認められなかった典型例です。

控訴審での解決:約1000万円の解決金で和解離婚

もっとも、夫は控訴しました。

この控訴審の段階で、依頼者の状況に変化がありました。

  • 正社員として就労開始
  • 離婚後の生活の見通しが立ってきた

その結果、

  • 紛争を長期化させる負担
  • 将来の生活設計
  • 経済的メリット

を総合的に検討し、

☑ 約1000万円の解決金を受け取る内容で和解離婚

という選択をされました。

この事例から分かる重要ポイント

①「破綻していた」という主張は簡単には認められない

相手はよく「不貞前から夫婦関係は終わっていた」と主張しますが、

  • 同居の有無
  • 別居の時期
  • 家族としての行動(旅行・外出)
  • 不貞発覚前と後での夫婦、家族関係の変化

などの客観的事情が極めて重要です。

②まず婚姻費用を確保することが最優先

離婚を争う前に、

☑ 生活を安定させること

が極めて重要です。

本件でも、婚姻費用を先に確保したことで、安心して訴訟対応が可能になりました。

③「勝ち続けること」と「最適解」は違う

第1審で勝訴しても、

  • 長期化の負担
  • 将来の生活
  • 精神的コスト

を考えると、和解の方が合理的な場合もあります。このケースは、控訴審で和解ではなく、判決の場合は、一審と同じく、夫の離婚請求は棄却になることが見込まれました。しかしながら、控訴審で離婚とならなかった場合、数年後に、再び夫から離婚請求が来ることは必至です。その手続的負担と、次の再度の離婚訴訟で、必ずしも妻に有利な条件で離婚ができるとは限りません。

本件はまさに、

☑「判決勝利 → 状況変化 → 高額解決金で和解」

という実務的に非常に良い流れの事例です。

よくある質問(FAQ)

Q1 夫が不貞しているのに、離婚に応じる必要はありますか?

応じる必要はありません。

不貞をした配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められにくいとされています。

ただし、

  • 別居期間が長い
  • 未成熟子がいない
  • 離婚となっても妻が経済的に過酷な状況にならない

などの事情がある場合には、例外的に認められることもあります。

Q2 「夫婦関係はすでに破綻していた」と言われたらどうすればいいですか?

重要なのは客観的事実の積み上げです。

例えば、

  • 別居開始時期
  • 外出や旅行の履歴
  • 日常的なやり取り
  • 同居状況

などを整理することで、破綻していないことを立証できる可能性があります。

Q3 離婚を拒否し続けるべきですか?

ケースによります。

本件のように、

  • 当初は生活不安が大きい → 離婚拒否
  • その後就労状況が改善 → 和解離婚

というように、途中で方針を変えることも合理的です。

Q4 解決金(和解金)はどのくらいもらえますか?

事案によりますが、

  • 有責配偶者からの請求
  • 訴訟での見通し
  • 収入状況
  • 婚姻期間

などによって大きく変わります。

本件では約1000万円でしたが、個別事情(夫の経済状況、夫の離婚意思の強さ等)によって変わります。

Q5 離婚訴訟までいくと必ず判決になりますか?

いいえ。途中で和解で解決することも多いです。

特に控訴審では、

  • 判決リスク
  • 長期化の回避

の観点から、和解による解決が選ばれることが多いです。また、裁判官も熱心に和解の試みをします。

まとめ|重要なのは「法的主張」と「生活設計」の両立

本事例は、

  • 不貞した夫からの離婚請求を一審(家庭裁判所)で退け
  • 控訴審で最終的に約1000万円の解決金で離婚

という流れでした。

しかし、より重要なのは、

☑ 状況に応じて最適な解決を選択した点

です。

離婚問題では、

  • 感情だけで判断するのではなく
  • 法的見通しと生活の現実を踏まえて
  • 戦略的に進めること

が極めて重要です。

ご相談を検討されている方へ

  • 不貞した夫から離婚を求められている
  • 夫から不貞前に「破綻していた」と言われている
  • 離婚に応じるべきか迷っている

このような状況では、対応を誤ると大きな不利益につながる可能性があります。

早い段階で、証拠の整理や方針の検討を行うことが重要です。

状況に応じた最適な解決方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

たかぎ法律事務所代表弁護士
2000(平成 12)年 10 月弁護士登録
第一東京弁護士会所属
登録番号 28118
修習期 53 期
東京都多摩市出身
上智大学法学部国際関係法学科卒
米国ノースウエスタン大学 LLM 卒

弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、現在は、女性側離婚案件に特化。年間 100 件以上の相談を受けております。特に高額で複雑な財産分与や婚姻費用について多数解決してきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。

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