【解決事例】モラハラ夫と離婚|専業主婦が自宅を取得して離婚成立したケース

1 事案の概要

本件は、長年にわたり夫からのモラハラに苦しんできた専業主婦の方が、離婚を決意し、最終的に自宅を取得して離婚を成立させた事案です。
依頼者は、婚姻期間中、夫の精神的支配や高圧的な言動に耐え続けてきましたが、次第に精神的・身体的な不調が現れ、これ以上婚姻関係を継続することは困難と判断しました。お子様は医療系大学に通う大学生であり、学費負担も大きい状況でした。

2 ご相談時の状況

  • 依頼者:専業主婦
  • 夫:会社員(収入あり)
  • 子:大学生(医療系)

長年のモラハラあり
精神的苦痛により体調悪化

  • 自宅:婚姻後取得(ローン完済済)

妻側実家から約2割の資金援助あり
依頼者は、まずお子様とともに自宅を出て別居し、その後、離婚に向けた手続を開始しました。

3 争点

本件では、主に以下の点が問題となりました。

① 離婚の可否(夫が離婚拒否)

夫は、自身のモラハラを認めず、離婚に強く反対していました。

② 婚姻費用(大学学費の扱い)

医療系大学という高額な学費をどのように考慮するかが問題となりました。

③ 財産分与(自宅の扱い)

夫は自宅の売却を希望したのに対し、依頼者は自宅取得を強く希望していました。

4 解決までの流れ

① 婚姻費用調停の申立て

別居後、速やかに婚姻費用分担請求調停を申立てました。夫の収入を基礎に算定、大学学費を加算事情として主張しました。結果として、学費を考慮した婚姻費用で合意成立しました。

② 離婚調停(不成立)

夫は独自の主張を展開し、モラハラの事実を認めず、離婚を拒否したため、離婚調停は不成立となりました。

③ 離婚訴訟の提起

離婚調停不成立後、速やかに離婚訴訟を提起しました。離婚訴訟の中で、
長年のモラハラの具体的事実、別居に至る経緯等婚姻関係の破綻を丁寧に主張・立証しました。

④ 離婚訴訟の途中で夫が離婚に同意

訴訟の進行の途中で、夫が離婚に応じる姿勢に転換し、離婚条件、主に不動産の処理と学費負担について協議をし、和解での解決を目指しました。

⑤ 財産分与(自宅取得)

最大の争点であった自宅について、夫は売却して売却利益を分けることを希望し、妻は、売却せずに妻が取得することを希望し、対立がありました。
という対立がありました。しかし、夫も家を取得することは希望していなかったことや、妻の実家が頭金を出していたことから、夫も妻が家を取得することを理解するようになり、妻が支払い可能な範囲で代償金(精算金)を支払い、自宅の名義を妻へ変更することに合意するに至りました。

⑥ 養育費・学費の合意

子は医療系の大学に在籍しており、学費は比較的に高額でした。そのため、夫は学費負担することに抵抗していましたが、判決となっても、学費負担は生じることや、あくまで子の利益を考えるべきと協議を重ね、子の大学卒業までの養育費、医療系大学の学費負担についても明確に取り決めることが出来ました。

5 解決結果

  1.  離婚成立(訴訟上の和解)
  2. 妻が自宅を取得して自宅に戻る
  3. 夫は退去
  4. 養育費+学費の支払い確保

6 ポイント

① モラハラ案件は「証拠化」が重要

モラハラは目に見えにくく、また夫は自分のモラハラ行為に気づいていないことが多く、モラハラを主張しても夫はモラハラを否認することが殆どです。具体的事実の積み上げが極めて重要です。このケースでは、依頼者の同居中の日記が証拠になりました。

② 学費は婚姻費用で考慮できる

大学学費は、養育費に加算するとして主張可能です。このケースでは、別居前にすでに子は大学生で、夫が大学学費を支払っていたので、夫が子の大学進学に同意していたことは明らかでした。

③ 自宅は「売却一択ではない」

代償金を支払うことで、財産分与として、自宅を取得する選択肢もあります。特にこのケースでは、住宅ローンを既に完済していたためにや、住宅購入時の頭金(購入代金の2割程度)を妻の実家の援助を受けていたことが自宅取得を可能した事情といえます。

④ 調停がダメでも訴訟で動くことは多い

本件のように、訴訟に入ったことで相手の態度が変わるケースは少なくありません。訴訟では、裁判官は判決になったらこうなりそう、といった心証を開示しつつ協議を促すため、調停時より、話し合いが進むことも多いです。

よくある質問(FAQ)

Q1 モラハラでも離婚できますか?

はい、可能です。
モラハラが継続し、婚姻関係が破綻していると認められれば、つまり、裁判官が「これは、婚姻生活続けるのは無理でしょう」と思ってくれれば、裁判で離婚が認められる可能性があります。

Q2 夫が離婚を拒否しても離婚できますか?

協議や調停で合意できない場合でも、訴訟で離婚が認められることがあります。
特に別居期間やモラハラ行為の蓄積は重要な判断要素になります。

Q3 専業主婦でも家をもらえますか?

はい、可能です。
当事者間で合意すれば、妻が家を財産分与で取得することは可能ですし、合意ができず、裁判所が財産分与を判断する場合でも、ローンの有無、代償金の支払い能力、居住の必要性などを踏まえて財産分与として不動産の名義を夫から妻に変更する判断がされることもあります。調

Q4 住宅は必ず売却しないといけませんか?

いいえ。
本件のように、一方が取得して他方に代償金を支払う方法も一般的です。

Q5 大学生の子どもの学費は請求できますか?

当事者の明示、黙示の同意があれば、婚姻費用や養育費に加算して大学学費を請求できます。また、同意がない場合でも、父母の学歴や資力から、大学学費の分担が認められることが多いです。

Q6 モラハラの証拠がなくても大丈夫ですか?

全くない場合は難しいこともありますが、日記、LINEや録音、医師の診断書(モラハラを原因とした鬱病や適応障害等)など、後から補強できるケースも多いです。全く証拠がない場合は、早めに別居を開始した方が良いです。

Q7 調停が不成立でも諦めるべきですか?

いいえ。
むしろ訴訟に移行することで、解決に近づくケースも多くあります。

まとめ

本件のように、モラハラで長年苦しんできた専業主婦の方でも、あきらめずに適切に手続きを進めることで、離婚を成立させ、自宅も確保できました。
離婚は人生の大きな転機です。
早い段階で専門家に相談することで、より有利な解決が期待できます。

この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

たかぎ法律事務所代表弁護士
2000(平成 12)年 10 月弁護士登録
第一東京弁護士会所属
登録番号 28118
修習期 53 期
東京都多摩市出身
上智大学法学部国際関係法学科卒
米国ノースウエスタン大学 LLM 卒

弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、現在は、女性側離婚案件に特化。年間 100 件以上の相談を受けております。特に高額で複雑な財産分与や婚姻費用について多数解決してきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。

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